統合失調症の治療には家族のサポートが不可欠
統合失調症を治療していく中で家族のサポートが非常に重要になってきます。
再発のリスクを減らす為や、社会復帰に導く為、医師と本人だけでなく家族も含めた3者が気を合わせてかないといけません。
薬を飲んでいるんだから大丈夫だと、治療の全てを医師に丸投げにしていてはいけません。
じゃあ一体どうサポートしていけば良いのでしょうか。自身の経験を元にまとめてみたいと思います。
家族が統合失調症を理解し、受け入れる
家族が統合失調症になってしまったという現実は受け入れ難いものです。私自身時間がかかってしまいましたし、当時統合失調症という病気すら知りませんでした。
家族がしっかり病気を受け入れておかないと、
- 微妙な変化に気づけない(例え気づいても気に留めない)
- 病状を軽く考えてしまいがち
- 診察の際一緒に診察を受けようとしない
- 服薬の管理を本人に任せっきりにしがち
- 病気のせいで本人の元々の性格を忘れてしまい、当事者本人の事を嫌いになってしまう(誤解のない様『病気のせいで』という言葉を付け加えておきます。)
これらの事は家族が統合失調症という病気を理解しておけば解決する問題かと思います。と同時にサポートする事に繋がると私は思っています。
それでは一つずつ詳しく解説していきたいと思います。
微妙な変化に気づけない(例え気づいても気に留めない)
統合失調症は波のある病気です。陽性症状である幻聴等の幻覚や、陰性症状である気分の落ち込みや、やる気のない日、こういった日があったりなかったりします。
何か大きな環境の変化があった時は必ず何かしらの病状が出てきました。
そう言った当事者の体調の変化にいち早く気づけるのは家族ではないでしょうか。
その変化を主治医に伝え、薬の量を調整してもらったり、様子を見たり、その体調の変化に対して治療でフィードバックしてもらう事が大事なのではないかと思います。
もしも当事者の体調の変化に気づかずそのまま放置しておくと、病状の再燃に繋がってしまいます。
かと言って毎日の様に家族が神経質に気にする必要はありませんが、何か家族がおや?と思った出来事があった場合はメモに書き留めておくなりして、診察の際に主治医に伝える様にしたら良いですね。
病状を軽く考えてしまいがち
特に陰性症状の慢性期にありがちなのですが、陰性症状の特に最初の2〜3年(個人差があります)は、脳を休める為、脳を回復させる最中であり一日中寝ていたり、又何もやる気が起こらずボーっとする時間が続きます。
これを理解の薄い家族から見ると、ただの怠け者。という捉え方をしてしまいます。それは大きな間違いです。
当事者からしたら、寝たくて寝ている訳でもないし、何もしたくないから何もしない訳ではありません。
症状の一つであり、それと同時に回復しようとしているだけなんです。治療中なのです。
家事をしろだとか、仕事をしろだとか、急かす様な言葉は避けた方が良いでしょう。
言われた本人からしたら、したくても出来ない訳で、
「自分は何も出来ないのに何の為に生きているんだろう。」
と、追い込んでしまうだけです。
今は回復しようとしているんだな。今はしっかり休む事(治療)を優先させてあげよう。
と、是非長期的な目で見守ってあげて欲しいと思います。
診察の際一緒に診察を受けようとしない
特に治療から時間が経ち、ある程度病状が落ち着いてきた頃から、本人だけで診察を受ける事が多いのではないでしょうか?
確かに、診察と言えども最近の調子はどうですか?から始まり、特に話すこともなく薬を貰って帰るだけ。となりがちですし、特に変化が無い時はそれで十分かと思います。
問題は、本当は主治医に話した方が良い体調の変化や、薬の副作用と言った不安に感じている事を、本人が薬が増える事を恐れ主治医にしっかり伝えない事にあります。
統合失調症は血液検査といった数値に現れる病気ではなく、又目に見える病気ではない為、主治医は本人の口から出る言葉で判断するしかありません。
それを隠していたのではちゃんとした治療に繋がりませんよね。
服薬する薬の量が増えるのは家族からしても嬉しいものではありません。ですが、病気が悪化して更に薬の量が増える方が嫌ですよね。
更には、一時的に薬の量が増えたとしてもそれが良い治療に繋がり、結果的に薬の量が減る事に繋がるのではないでしょうか。
毎回一緒に診察を。とは言いませんが、2回に1回とか、極力一緒に診察は受けた方が良いかと思います。
服薬の管理を本人に任せっきりにしがち
統合失調症の病状の一つに、認知機能障害があります。私の目から見てもかなり忘れっぽくなります。
なので薬をちゃんと毎日飲んでいるのか、これは家族もしっかり把握しておいた方が良いかと思います。
特に統合失調症の薬は毎日飲まないといけませんし、時間も長期的になります。もう薬を飲まなくても良いんじゃないか?と当事者が勝手に判断してしまうケースも考えられます。
私の家庭でも実際にあったのですが、毎月30日分の薬を貰っており、何故か次回受診日に半月分の薬が余っていた事もあります。
その結果、陽性症状が酷く現れてしまい、それ以来私が薬の管理をする様にしています。
今は二週間〜四週間効果が続くLAI(持続性注射剤)もあります。しかし、LAIだけではなく、別で錠剤も服薬する方がほとんどではないでしょうか。
断薬した際の再発率は80%を超えると言われています。是非とも家族の方も協力して薬の管理はされる様にして下さい。
病気のせいで本人の元々の性格を忘れてしまい、当事者本人の事を嫌いになってしまう
恐らくこれが家族間で起きる最大の問題であり、一番伝えたいのはこの問題になります。
統合失調症という病気のせいとはいえ、家族に対して敵意を向けた態度を取られた時、家族である私達も正直憎らしく感じてしまいます。
妄想状態にある時、別人のように見えてしまい、元の人間性を家族が忘れてしまうんです。
それが原因で恋人と別れてしまったり、家族がバラバラになってしまった方もおられます。
では陽性症状による幻聴や被害妄想から、家族である私達はどう振舞ったら良いのでしょうか。
まず、よく本や医者から言われたり目にする事があるのはこの言葉でしょう。
妄想状態にある時、相手の話しは肯定や否定をしてはいけません。
そして、相手に寄り添った言葉をかけてあげると良いでしょう。
家族に妄想状態にある方を落ち着かせようと対応した事がある方、こうは思いませんか?
寄り添った言葉なんてかけてもそんなに意味ないし、言葉にも限界がある。それで落ち着けば苦労しない。
私は幾度も妄想話しを聞いてきましたが、この対応は難しいのではと思っています。
ではどうしたら良いのか。
相手の話しに肯定や否定はせず、話しをうまく聞き流しつつ、別の事に意識を持って行く様誘導する。
私はこうしています。例えば今日のご飯のおかずの話でも良いんです。何か別の事に意識を逸らしてあげて下さい。そして落ち着いた頃に頓服薬を飲んでもらう様促すと良いと思います。
もうコミニュケーションが取れない程妄想状態が酷い場合はすぐにでも受診したほうが良いです。
が、こういった時程受診しようとしてくれません。なので騙す形になるかもしれませんが、
錠剤を砕いて飲み物に混ぜる等し、頓服薬だけでも飲んでもらった方が良いでしょう。
後は私達家族は非情な言い方かもしれませんが、妄想状態が治るまで我慢するしかありません。正直これしか言いようがないです。良くなる事を信じて我慢しましょう。病状が治った時、我慢して良かった。そう思えるはずです。
最後に。
統合失調症という病気は病状が人それぞれで、回復の仕方や時間も人それぞれです。
何故うちの家族は中々良くならないんだとか、何故家族がこんな病気にかかってしまったんだとか、周りの方達と比べてしまうのはやめた方が良いと思います。
本人の治療のペースに合わせて私達家族はしっかりサポートして行く事で医師から質の良い治療を受けられる事に繋がるものだと思います。
コメント
高校生の娘が統合失調症です。診断されてまだ一年弱。入院歴がなく通院だけで済んでいて軽度だと思います。でも学校ではトラブルが絶えず、家では母の私に対し特に暴言をはくため参っています。
なので患者家族向けの情報を欲していました。
なによりも患者の事を嫌いになってしまう心理状態について書いてあることがとても救われました。こうなると自分の事まで嫌いになるし、自分も娘もこの世から消滅したいとよく思うようになります。ただでさえ母たるものは……と、育児に対する水準が高く『統合失調症の子が嫌いだ』となんて思っていると人に知られたら大変な非難を浴びることでしょう。うまく説明できないのですが、私だけではないのだと心が軽くなります。優しくて分かりやすい言葉で書いてあるので、更にありがたいです。