神戸五人殺傷事件で被告人に無罪が言い渡されました
まず初めに、ご遺族の方にお悔やみ申し上げます。
当記事は被告人は有罪判決であるべきとか、被告人に対して批判する記事ではありません。
今ここで私がそれについて意見を述べても、亡くなった方は帰って来ませんし、ご遺族の方への慰めにもなりません。
統合失調症患者を家族に持つ人間として感じた事を書きたいと思います。
統合失調症への偏見が強まってしまった
「また統合失調症か。」
「統合失調症は殺人パスポート」
ネット上でこの様な言葉が飛び交っています。悔しくてなりません。
残念ながら世間での統合失調症へのイメージが悪い方へと更に傾いてしまいました。
刑法39条1項「心神喪失者の行為はこれを罰しない」
被告人は罪を認めていました。しかしこの刑法がある為無罪判決となったものと思われます。
心身喪失状態にあるから無罪と言われて納得する人なんていません。ご遺族な方のお気持ちは想像に容易いです。そもそも被告人本人ですら罪を認めているんです。
司法が精神疾患への差別や偏見を生んでいると言っても過言ではありません。
統合失調症患者の方の居場所が奪われいく
私はTwitterで統合失調症を患っている方を多くフォローさせて頂いているのですが、この度の無罪判決に対して疑問を抱いていますし、無罪判決によって世間からの偏見の目が酷くなる事を嘆いています。
アカウントに鍵をつけた方もいらっしゃいます。
同じ病気だというだけでなぜこの様な思いをしなければならないのでしょうか。
それは統合失調症に対して世間の認知度が低く、正しい知識を学んでいないからに他なりません。
確かにせん妄状態に陥った時、周りの人に対して敵意を持った対応をする事があります。
しかし、ちゃんと治療していれば陽性症状である妄想、幻覚といった症状は収まるんです。
陰性症状といったうつになったり無気力状態になったりといった症状もありますが、妄想や幻覚の無い時は普通の人と変わりはないんです。普通の人なんです。
統合失調症を患っている方の大多数がちゃんと治療をし、病状に悩みながら必死に統合失調症という病気と戦っています。
精神疾患だからと避けている方、どうか闘病している方と触れ合ってみてください。その様な偏見なくなるはずです。
陽性症状がある時は治療が難しい面もある
神戸五人殺傷事件の被告人は、犯行当時妄想状態にあったと思われます。
恐らく事件当日よりも前から陽性症状は現れていたものと思われます。
「なぜじゃあちゃんと治療しなかったんだ。」
そう言いたいのはわかります。しかし統合失調症を患ってしまうと、病識を無くしてしまうんです。自分が病気だと当の本人は思っていない訳です。
ただの私の憶測ですが、ご家族の方も何度も病院に連れて行こうとされたのではないでしょうか。
しかし、陽性症状である妄想状態に陥ってしまうと、
自分を病院に連れて行こうとする家族は自分の敵だ。
という妄想に囚われてしまい、病院に連れて行く事自体が困難になってしまう。結果治療ができずどんどん病状が悪化してしまい、最悪のケースになってしまったのではないでしょうか。
しっかり治療ができていれば防げる事が出来たのかもしれません。
しかし中々治療してもらう為の病院に行かせる事が困難なのが現実です。
無理矢理病院に連れて行く事はできないのか
統合失調症患者の場合、陽性症状が酷い時の事を急性期と言います。
そして急性期に何らかの事件を起こして警察沙汰となり、措置入院となるケースもある事も事実です。
そうなる前に大人しく病院を受診してくれれば良いのですが、前項で述べた様に病識がない為難しいのです。
今は精神病院の方が無理矢理病院に連れて行く事も人権問題の観点から出来なくなっています。
そこで今はこういう制度があります。
行政の方に何度か訪問してもらう為、数週間と時間はかかってしまいまいますが、こういった制度を利用するのが良いかと思われます。
しかし緊急を要する場合は時間がかかってしまっては意味がありません。
そこで民間救急車という業者を利用する事も一つの手かと思われます。
民間の業者なので、予めご自身のお住まいの地域にそういった業者があるかどうか調べておくと良いと思います。
どうか皆さんに統合失調症という病気について正確に知ってもらいたい
偏見を無くすというのは難しい事だと分かっています。
しかしだからと言って何もしなかったら何も変わりません。
悪いのは病気であり、罹患者本人ではありません。
統合失調症の罹患率は100人に1人です。原因も分かっておらず、誰にでも発症する可能性のある病気です。身近な方や、はたまたご自身も発症するかもしれません。
その時統合失調症についてしっかりとした知識が身についていれば対応出来るんです。
正しい知識が身についていれば偏見も減って行くはずです。
どうか他人事と思わず、1人でも多くの方の目に留まってもらえればと思います。
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